柱と梁が部屋の有効度を決める

有効面積という発想でマンションを見るべきとは既に書いた通りです。さて、ここではそれの続き。有効面積に大きく影響する柱・梁(はり)の話です。まず、柱の位置についてこれは図をご覧いただくのが一番わかりやすいでしょう。みなさんもマンションを選ぶとき、最初に見るのが「図面」のはず。その「図面」をよく見てみると、その違いがわかります。

平成前半までの大規模物件に多い壁式工法

図1は壁式と呼ばれる工法で作られたマンション。壁そのものが柱の役割をして建物を支えています。壁という壁のほとんどが柱の役割をしているので、目立った大きな柱がありません。ということは、それだけ有効面積も広いということになります。(壁芯面積は壁の真ん中を基準に測定されますから大きな柱がある場合、その厚みだけ有効性が低下することになります)この壁式工法の特徴は室内(専有部)の壁のほとんどが柱の役割をした構造壁だという点。となると、リノベーションの際、専有部内の壁はほとんど取り壊せませんから、たとえばお風呂を広げたいとか二つの部屋をつないで広くしたいなどの柔軟性には欠けるというデメリットが生じます。

図1 壁式工法

アウトフレーム工法なら各居室がスクエアになる

図2は(表現が難しいですが図3と比較した場合)一般的な工法で作られたマンション。図3と見比べてもらえればわかりやすいですが、柱の位置が部屋内部に張り出しています。専有面積でみると同じ面積であっても、この柱の面積分だけ有効率が低下するわけです。みなさんが中古マンションの購入を検討していて、もっともよく目にするのがこのパターンだと思われます。まさに最も一般的に用いられる工法ということができます。

図2 一般的な工法
図3 アウトフレーム工法

図3(アウトフレーム工法)との対比でいうと、有効面積が低いという点で一辺倒にダメ出しされかねませんが、この工法が用いられている場合、その年代ではアウトフレームがなかったか、あるいは、コストを抑制するために一般工法を敢えて用いたということもあるようです。つまり、有効面積はコスト(購入価格)とのバランスでもあるということになります。図3はすでに書いた通りアウトフレーム工法によるマンションです。平成前半から普及が始まった工法であり、柱が部屋内部から外側に出ているために、各居室がスクエアになって有効面積が増すことになります。一見、文句なしの構造に感じますが、柱が専有部から外側(バルコニー面)に張り出したことによって、日当たりが若干悪くなるというデメリットが生じます。柱がなくスッキリとした空間を手にするためには多少のトレードオフがあるということ。みなさんも、まず図面をよく見て、それぞれのメリットとデメリットをよく検討されるべきと思います。